カンボジアはその豊かな文化と多様な祭りで知られています。

今回のブログは、カンボジアの主要な祭りと行事に焦点を当てていきます。

解放の日から中華正月、そして壮大な水祭り。カンボジアの祭りはその国の歴史、信仰、そしてコミュニティの絆を深く反映しています。

現地の方々の笑顔、そして人柄、それらは偶然が作り出したものではありません。

長い長いさまざまな歴史の中から生まれたものではないでしょうか。

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1. カンボジアの祭りと行事 – その起源と特徴

カンボジアの祭りを楽しむ若い女たち

1-1. 文化と祭り

カンボジアの祭りと行事は、古代から続くクメール文化の宝庫です。

参加すると、まるでタイムマシンに乗ったような感覚を味わえます。

勇気を振り絞って、そこに思い切って飛び込んでください。きっと、10世紀ごろ栄えたクメール王朝の時代にタイムスリップできるでしょう。

また、アンコール遺跡を訪れれば、その昔の栄華を想像することができます。

カンボジアの祭りと行事は、衣装、音楽、ダンスなどで目も耳も楽しませてくれます。

カンボジアの人々は、祭りと行事を通して自分たちの文化や精神を表現し、共有します。あなたもその一員となって、カンボジアの魅力に触れてみませんか?

1-2. カンボジアの祝日とその意義

軍服を着たカンボジアの兵隊たち

カンボジアでは、国際的な祝日や王室関連の祝日、仏教関連の祝日などがあります。これらの祝日は、カンボジアの歴史や政治、宗教などに関係しています。

例えば、1月7日の解放記念日は、ル・ポト政権からの解放を記念する日です。

この日は、1979年にベトナム軍によってポル・ポト政権が崩壊した記念日です。

ポル・ポト政権は数年間カンボジアを支配し、多くの人々を虐殺しました。

そのため、この日はカンボジアの人々にとって忘れられない日です。

この日、首都プノンペンの独立記念塔では式典が行われます。また、各地で犠牲者を追悼する儀式なども行われたりします。

カンボジアの独立記念塔に集まる民衆

10月5日から行われるプチュム・ベンは、仏教に基づいた重要な祭りです。その祭りは先祖への敬意や供養を表します。

この祭りは、仏教では死者が輪廻転生する前に一定期間滞在するとされる中有(ちゅうう)という世界から、先祖が戻ってくると信じられています。

そのため、カンボジアの人々は寺院にお供え物を持って行ったり、僧侶に施しをしたり、先祖の墓地にもお参りして花や食べ物を供えたりします。

この祭りはカンボジアの人々にとって大切なものであり、家族やコミュニティの絆を強めます。

2. カンボジア解放の日の祝賀とその意義 – 1月7日

カンボジアの独立を喜ぶ民衆

2-1. 解放の日の起源 – カンボジアの歴史的な瞬間

カンボジア解放の日は、1979年1月7日です。この日はカンボジア人民党(CPP)とベトナム軍がポル・ポト政権を打倒した日を記念する祝日です。

ポル・ポト政権は、5年間カンボジアを支配した共産主義者の集団です。クメール・ルージュと呼ばれ、カンボジアの人口の約4分の1にあたる200万人以上の人々を虐殺しました。

この暗黒時代には、多くの人々が飢餓、病気、拷問、処刑に苦しみました。

2-2. 解放の日の祝賀 – カンボジア人がどのように祝うか

カンボジアの独立記念塔に集まる民衆-2

解放の日は、カンボジアでは公式な祝日です。しかし、国民的なお祭りというよりは政治的な行事として扱われています。

カンボジア人民党は、この日を自分たちの功績を誇示する機会として利用しています。首都プノンペンでは大規模なパレードや演説が行われます。

一方、クメール・ルージュの被害者は、この日を悲しみや抗議の日として捉えています。そして、犠牲者を追悼したり、政府に真実や正義を求めたりします。

解放の日は、カンボジア社会における歴史的な分断や対立を象徴する日でもあります。

3. 中華正月とカンボジアでの祝い方 – 2月

カンボジアの中華正月の様子

3-1. 起源とその意義 – 中国の伝統的な祝日

中華正月は、中国の太陰太陽暦に基づく新年の祝日です。この祝日は、春節とも呼ばれ、中国の農業社会における春の到来を祝うものです。

一年で最も重要な祝日とされており、家族や親戚と一緒に過ごすことが習慣です。

中華正月には、さまざまな風習や儀式が行われます。例えば、家を掃除して邪気を払ったり、赤い飾りや灯籠を飾って幸運を招いたり、餃子や魚などの縁起の良い料理を食べたりします。

そのほかにも、子供や親戚に紅包(赤い封筒に入れたお金)を渡したりします。

また、花火や獅子舞、龍舞などの華やかなパフォーマンスも見られます。中華正月は、中国の文化や伝統を体感できる祝日です。

3-2. カンボジアでの中華正月の祝い方 – 地元の風習と祭り

カンボジアの中華正月を祝う女

カンボジアでは、中華正月は中国系カンボジア人やベトナム系カンボジア人など、少数民族によって祝われています。

中国本土とは異なる地元の風習や祭りがあります。例えば、カンボジアでは、中華正月の前夜に「チャウ・ゴー」と呼ばれる粘米と豚肉やナッツなどを詰めた蒸し団子を食べます。これは、カンボジア人が中国から移住してきた時に持ってきた伝統料理だと言われています。

また、カンボジアでは、中華正月期間中に「チャウ・チャムナック」と呼ばれる祭りが行われます。

これは、カンボジア人が自分たちの先祖や守護神に感謝するために行う儀式です。

この儀式では、家族や親戚が集まって豚肉や鶏肉などの供物を用意します。そして、お寺で僧侶に読経してもらった後に食べます。

カンボジアでの中華正月は、中国文化とカンボジア文化が融合した独特な祝い方です。

4. チョルチュム・トゥンボン(カンボジアの正月) – 4月13日~16日

カンボジアの正月で街を歩く人々

4-1. 正月の祭りとカンボジアの文化

カンボジアの正月は、チョルチュム・トゥンボンと呼ばれています。クメール暦に基づいて4月14日から16日にかけて行われる最大の祭りです。

この祭りは、太陽が牡羊座に入ることで始まる農業暦の新年です。カンボジアの人々は新しい年への期待や感謝を表現し、家族と楽しく過ごします。

この祭りはカンボジアの文化や精神を最も表すものであり、観光客にも人気です。

旧正月で料理をしている子供の僧侶

カンボジアの正月は、古代から続くクメール文化の宝庫です。

その祭りと行事はその伝統や精神を今に伝えています。クメール王朝時代に栄えた農業社会の名残を紐解けば、カンボジアの人々は、水や豊穣を神聖視し、それらに感謝することで幸せを得ると信じていることが読み取れます。

そのため、カンボジアの正月では、水や花などを使って清めたり、お供え物をしたりします。また、仏教的な敬意や功徳を表すものでもあり、仏像や僧侶に水をかけて清めたり、寺院で施しをしたりします。

さらに、家族やコミュニティの絆を強めるために、家族や友人にプレゼントを贈ったり、お互いに幸せを祈ったりします。

4-2. カンボジアの正月の風習とイベント

寺院にお供え物をする民衆

カンボジアの正月は3日間続きますが、それぞれに異なる名前や意味があります。

最初の日はムハ・サンクラントと呼ばれ、この日は太陽が新しい星座に入ることを祝います。この日には、カンボジアの人々は自分の家や寺院を掃除したり、飾り付けたりします。

また、仏像や僧侶にお供え物をしたり、祈りを捧げたりします。さらに、家族や友人にプレゼントを贈ったり、お互いに幸せを祈ったりします。

家族で正月を祝ってる様子

正月の二日目はヴァナバットと呼ばれ、この日は施しや慈善を行う日です。この日には、カンボジアの人々は貧しい人々や動物に食べ物やお金を与えたり、寺院で僧侶に施しをしたりします。

また、親戚や友人を訪問して挨拶したり、お互いに尊敬を表したりします。

新年の三日目はトゥングサ・トゥーチャットと呼ばれ、この日は水をかけ合って清める日です。

この日には、カンボジアの人々は仏像や僧侶に水をかけて清めたり、親戚や友人に水をかけてお互いに幸せを願ったりします。また、街中では水掛け合戦が行われて盛り上がったりします。

5. プチュンバン祭りとカンボジアの敬虔な信仰 – 9月下旬から10月上旬

プチュム・ベンの様子

5-1. 先祖の月とカンボジアの伝統

カンボジアの先祖の月は、プチュム・ベンと呼ばれ、クメール暦に基づいて10月5日から7日にかけて行われる重要な祭りです。

この祭りは、仏教では死者が輪廻転生する前に一定期間滞在するとされる中有(ちゅうう)という世界から先祖が戻ってくると信じられています。

そのため、カンボジアの人々は寺院にお供え物を持って行ったり、僧侶に施しをしたりします。

また、先祖の墓地にもお参りして花や食べ物を供えたりします。この祭りはカンボジアの伝統や精神を表すものであり、観光客にも人気です。

プチュム・ベンの様子-2

仏教の国カンボジアでは、先祖の月が伝統や歴史に深く関係しています。それは、仏教では先祖への敬意や供養が重要なものだからです。

この傾向が強くなったのは、ポル・ポト政権時代に多くの人々が虐殺されたこと。これによって、先祖への思いがますます強くなりました。

そのため、カンボジアの人々は先祖の月において、霊を慰めたり、感謝したりします。

また、カンボジアの先祖の月は、家族やコミュニティの絆を強めるものでもありますので、先祖の月においては、家族や親戚と一緒に寺院や墓地に行ったりします。

5-2. カンボジアの月に関する祭りと風習

プチュム・ベンの様子-3

カンボジアの月に関する祭りや風習は、その神秘性と美しさで多くの人々を引きつけます。

月を讃える祭りでは、月明かりの下での祈りや瞑想、特別な料理やお供え物が行われます。

これらの祭りは、自然と人々、そして宇宙全体との調和を感じさせ、心に平和と安らぎをもたらし、特に「プチュム・ベン」では、月の光が先祖の霊を照らし、生者と死者が一つになる瞬間とされています。

以下が月に関するカンボジアの行事です。

メーカ・ブーチャ(満月節)

プチュム・ベンの様子-4

これは毎月の満月の日に行われる仏教的な行事で、この日は、カンボジアの人々は寺院に参拝して仏像や僧侶に線香や花などを供えたり、法話を聞いたりします。

この日は肉や酒などを控えたり、悪いことをしないように心がけたりします。それは、この行事は仏教的な敬意や功徳を表すものだからです。

プチュム・ベン(先祖の月)

プチュム・ベンの様子-5

これは10月5日から7日にかけて行われる重要な祭りです。

この祭りは、仏教では死者が輪廻転生する前に一定期間滞在するとされる中有(ちゅうう)という世界から先祖が戻ってくると信じられています。

そのため、カンボジアの人々は寺院にお供え物を持って行ったり、僧侶に施しをしたり、先祖の墓地にもお参りして花や食べ物を供えたりします。この祭りはカンボジアの伝統や精神を表すものです。

プレア・ヴィハー(月の光)

プチュム・ベンの様子-6

これは11月15日に行われる祭りで、カンボジアとタイの国境にあるプレア・ヴィハー寺院で行われます。この寺院はクメール王朝時代に建設された壮大な寺院であり、世界遺産に登録されています。

この祭りでは、カンボジアの人々はプレア・ヴィハー寺院に参拝して仏像や僧侶に線香や花などを供えたり、法話を聞いたりします。

また、この日は満月の光がプレア・ヴィハー寺院を照らすという現象が起こるとされており、それを見ることで幸運を得ると信じられています。

6. 水と生命の祝福 ボン・オムトゥク(水祭り)とその壮観 – 11月

カンボジアの水祭りの様子

6-1. 水祭りの歴史と意義

クメール暦に基づいて、11月の満月の日から3日間行われる大規模な祭り「ボン・オムトゥク」、通称水祭りは、単なるお祭り騒ぎではなく、水と生命、そしてカンボジアの文化と歴史が交錯する壮大なイベントです。

この祭りは、水の恵みと農業の成功を祈願するとともに、古代の海戦の勝利を称える歴史的な側面も持っていて、毎年、数百万人が首都プノンペンのメコン川沿いに集まり、競艇、音楽、ダンスで一体となります。

カンボジアの水祭りの様子-2

また、メコン川やトンレサップ湖などの水路が逆流するという現象を祝うもので、これは、カンボジアの農業や漁業にとって重要なものであり、水や生命の祝福を表し、カンボジアの歴史や文化に深く関係しています。

カンボジアの水祭りは、古代から続く伝統的な祭りです。クメール王朝時代には、水祭りは王室や軍隊が水上で演習を行う機会でもあったため、競艇や船飾りなどが行われます。

また、水祭りは仏教的な意味も持っており、仏陀や菩薩などが現れるとされるものです。そのため、水祭りには仏像や僧侶に線香や花などを供えたり、法話を聞いたりします。

6-2. カンボジアの水祭りの見どころと楽しみ方

花火が打ち上げられたカンボジアの水祭り

水祭りには、見どころと楽しみ方がいくつもあります。競艇はもちろん、夜になると美しい花火が打ち上げられ、メコン川は一面の光で埋め尽くされます。

地元の屋台では、カンボジア料理の数々が楽しめ、特に水祭り限定の料理も多いです。また、祭りの期間中は多くの伝統的なパフォーマンスやショーが行われ、観光客にとってはカンボジア文化を深く理解する絶好の機会です。

カンボジアの水祭りにならぶ露店

カンボジアの水祭りは、11月の満月の日から3日間行われる大規模な祭りで、カンボジア各地から多くの人々が首都プノンペンに集まって盛大にお祝いします。

以下では、水祭りで見逃せないものについて紹介します。

競艇

カンボジアの水祭りで多くのカヌーが川に集まる

これは水祭りのメインイベントであり、メコン川で行われます。競艇では、各地から集まった数百隻の船が一斉に漕ぎ始めます。

船は細長くて色鮮やかであり、船頭や漕ぎ手たちは勇壮な姿を見せます。競艇はカンボジアの歴史や文化を反映しており、観光客にも人気です。

船飾り

色とりどりに装飾された船

これは水祭りで行われるもう一つのイベントであり、夜間に行われます。

船飾りでは、各地から集まった数十隻の船がライトや花などで飾られて川を行き交います。船は様々な形やデザインであり、競艇とは違った美しさを見せます。

また、船飾りはカンボジアの芸術や創造力を反映しており、観光客にも人気です。

花火

打ち上げれらた大量の花火

これは水祭りで行われるもう一つのイベントであり、夜間に行われます。

花火では、メコン川の上空に色とりどりの花火が打ち上げられ、水祭りの華やかさや楽しさを表します。それはカンボジアの人々の喜びや感謝を反映しているように見えます。